薬剤師として働き始めて一通り業務を覚え、ほんの少しだけは心にも体力にも余裕が出てき始めた時期だと思います。
新人薬剤師が何をすべきかもわからない状況の人に向けて、
新人薬剤師が最初にすることについて今回記述しました。
上司には「何でも聞いてね」と言われていても「何がわからないのかわからない」人はこの記事を読んでわからないことを自分で発見できるようになって下さい。
目次
添付文書を見る
添付文書は薬の説明書です。
大体のことはこれを見れば他職種からの問い合わせには対応できます。
そのため薬局の中にある薬剤の添付文書は必ず1度は目を通して下さい。
よく手にする薬剤からでもちろん問題ないです。
あいうえお順で見ていくと速攻で心が折れると思います。
どこに何が書いてあるのか知っているだけでもかなり今後の業務が楽になります。
何かあったら添付文書を見る癖をつけて下さい。
初めは1つ見るのにすごい時間がかかりますがいずれ読むスピードが早くなります。
その中でも必ず見るところは
- 「警告・禁忌」
- 「用法・用量」
- 「相互作用・副作用」
が挙げられます。
「警告・禁忌」
「警告・禁忌」はあれ?と思うことがたまに書いてあります。
例えば
- デパケン錠×ファロム錠のように「薬剤」×「薬剤」のパターン
- セレネース錠×パーキンソン病のように「薬剤」×「疾患」のパターン
どちらも私が薬剤師をしていてよく見かける組み合わせです。
他にはリクシアナのように
- 「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」の場合はクレアチニンクリアランスが30mL/min未満
- 「非弁膜症性心房細動患者における〜再発抑制」ではクレアチニンクリアランスが15mL/min未満
のように適応によって禁忌が異なる場合があります。
これらの禁忌を見逃しアクシデントが発生するとせっかく取得した資格がなくなる可能性があります。
そのため禁忌だけは必死で覚えて下さい。
「用法・用量」
「用法・用量」は用量によって適応が異なることがあるからです。
有名なのはアーチスト錠です。
アーチスト錠には1.25mg、2.5mg、10mg、20mgの4種類が発売されています。
10mgと20mgは狭心症、1.25mgと2.5mgと10mgは慢性心不全、2.5mg〜20mgは頻脈性心房細動。このように適応によって投与量が異なる場合があります。
適宜増減のコメントがあるかないかも見る必要があります。
アミティーザは適宜増減が記載されていますが、リンゼスのように減量があっても増量が記載されていない場合があるため注意して下さい。
問い合わせでよくあるのが「どの量までまで使える?」と聞かれることがあります。
便秘だから用量に上限はないと思ったら大間違いです。
「相互作用・副作用」
「相互作用・副作用」は代謝酵素を探す時にもよく使います。代謝酵素がCYP3A4かどうかを確認したい場合は相互作用の欄を見るとほとんど確認できることができます。食品やOTC薬との飲み合わせを確認したい場合はそこをみて推測することもあります。
もちろんまだまだ見るべきところはたくさんあります。ですが最低限上記事項はみて下さい。
同種・同効薬を知る
まだ自分の目の前にある薬も覚えていないのに同種・同効薬について覚える余裕がない!
と思う方もいると思います。
正直なところ最初の頃から同種・同効薬の意識をしないと新人薬剤師はこれからも業務がどんどん増えることが予想されるため後回しになる可能性があります。
薬剤師はほんとに自分の知識の範囲外のことを聞かれることが多いです。
それらに全て即答することができないですがその打率を避ける努力は必要です。
例えば、PPIのように同じ薬効で剤形の違いによる特徴を理解すること。
PPIを簡易懸濁したい場合、ラベプラゾールはフィルムコートのため不可だがランソプラゾールODは可能。
上記のようにPPIひとつとっても薬の違いはあります。
薬剤師になったからこそ違いがわかる人になりましょう。
他職種と交流をする
薬局の場合は医療事務や近隣の医師。
病院の場合は看護師や栄養士、理学療法士など。
新人薬剤師はあまり調剤室から出ていけないことが多く、本当に自分のやりたいことを見失うことがあります。
気持ちを整理する意味もこめて他職種と話すことは重要です。
隣のスペシャリストは何をしているのか、自分が困った時に誰に聞けるのかを知って下さい。
また薬で困っていることは意外と薬剤師に話さず他の職種に話していることはよくあります。
まとめ
薬剤師として最初にやっておきたいことを書きました。
他にもインタビューフォームを見る、論文を読む、参考書を買う、ガイドラインを知る・・・・。
やるべきことは本当に多いです。
大前提として社会人としてのマナーも必要。
最近、薬剤師の業務は対物業務から対人業務に移行すると言われているが
対物業務あっての対人業務です。
知識がないことが許されるのは今だけです。