ST合剤で高K血症?

S T合剤は多くのグラム陽性菌とMRSAを含むグラム陰性菌、一部の原虫や真菌に対して効果があり、外来では尿路感染の治療やニューモシスチス肺炎の治療及び発症抑制に使われることが多いと思います。

主な副作用である血液障害、溶血性貧血は日頃から注意されていると思います。

ですが、その他の副作用の中に「高K・低Na血症」があります。

血液障害は医師も注意していますが「高K・低Na血症」は見逃されることがあり時注意が必要です。

薬剤師だからこそ知っておきたい内容も記載しました。

原因

「高K・低Na血症」が起こる主な原因はST合剤のTの部分であるトリメトプリムが遠位尿細管のNa/K ATPaseを阻害することによりNaの再吸収を阻害するためです。

Na/K ATPaseは血管側のKを細胞内に、細胞内のNaを血管側に取り込む働きを行なっています。

用量依存性で発現しやすいため腎機能で用量調節する際は過量にならないように注意し、また過量になった際は定期的な採血をして確認が必要と思います。※1

ACE阻害剤や ARBなどの高K血症をきたす薬剤を服用している患者は用量に関係なく電解質異常が認めらます。※2

中和薬はないため薬剤の中止が第一に求められ、カリウム吸着剤による電解質の補正が必要とされます。

注意点

クレアチニン

S T合剤は先ほども申したように定期的なモニタリングが必要と記載しましたが

トリメトプリムの効果によって血清クレアチニン値が上昇します。

一般的に10%程度の上昇が予想されるため「クレアチニンの上昇=腎機能障害」とならないように注意しましょう。

PK-PD

PK-PDは不明とされています。

ですがβラクタムと同じ傾向であると考えると時間依存型と考えられます。※3

そのためMICよりも高い濃度を何%維持しているのかが重要になってきます。

そのため抗菌薬の「投与量」より「回数」が重要となります。

用量も重要ですが投与回数を保てるように工夫が必要です。

まとめ

高K・低Na血症の原因はトリメトプリムによる尿細管のを阻害することにより発生します。

同時にクレアチニンの上場による腎機能の過小評価に注意し、KとNaとうまく付き合いながらST合剤をうまく使いこなしましょう。

※1 Nguyen, AT. et al: Curr Drug Saf, 2013, 8(2), 114 〔202000320〕

※2 Higashioka, K. et al: Intern Med, 2016, 55(5), 467 〔202000325〕

※3 Craig, WA. et al: Pediatr Infect Dis J, 1996, 15(3), 255 〔200803662〕

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA