WHOによると2030年には患者数が8200万人になると言われている「認知症」
薬剤師をしていると認知症患者に関わる機会が多いですが、未だに「認知症」のことをはっきりとは理解できていませんでした。
米国では新しいアルツハイマー型認知症に対する薬剤が承認されて日本にもいつか承認されることが予想され、 そんなかでふと出会ったこの書籍が「認知症患者」に対する見方を変えました。
著者は「長谷川式スケール」を作成した長谷川和夫さんです。
この方は今では何気なく使っている「認知症」という言葉を作り、世の中に広めた方であり、2017年には自身も認知症であると告白されました。
今回紹介する『ボクはやっと認知症のことがわかった』は医師目線、患者目線の両方向からみた「認知症」に対することを書かれています。
目次
認知症とは?
成年期以降に、記憶や言語、知覚、思考などに関する脳の機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたすようになった状態です。
そのため正常な老化の一部ではなく、さまざまな原因によって脳の神経細胞に障害を受けたときに起こるものとされています。
アルツハイマー博士が発見したアルツハイマー型認知症を筆頭にさまざまな種類の認知症が現在あります。
割合としては下記の通りになります。
ですが、筆者の長谷川先生は下記の通りに認知症を説明しています。
認知症の本質は「いままでの暮らしができなくなること」だといえます。
認知症の本質は「暮らしの障害」「生活障害」なのです。
引用:ボクはやっと認知症のことがわかった
働き方を考える
読み進めるうちに医師はどのように患者さんに向き合っているのか、患者自身は普段どのように感じたり接して欲しかったりしているのかなどかがわかるようになっています。
–認知症として診断された人は「あちら側の人間」として扱われていると思うことがあります。
引用:ボクはやっと認知症のことがわかった
特に上記の内容が読んでいてハッと思いましたね。
お薬を扱う薬剤師としては患者本人ではなく、周りの人に情報のやり取りをしてしまうことが多いため、私はこの文章を読んでからとても反省しました。
まとめ
認知症になったからといって、人が急に変わるわけでもない。自分が住んでいる世界は昔もいまも連続しているし、昨日から今日へと自分自身は続いている
引用:ボクはやっと認知症のことがわかった
今はまだ治らない病気の「認知症」、診断を受けたら知らない別人になるわけではありません。
そのため周りの接し方次第で病気を持っていても少ない支障だけで過ごすことができます。
それは患者家族だけではなく薬剤師ひいては医療従事者全般に言えることであることを十分理解し接することが重要ではないでしょうか。
今回紹介した内容はほんの一部に過ぎません。
医学書のような難しい単語はあまり出てこないためスラスラと読み進むことができますが、あらゆるところに考えさせる言葉が散りばめられています。
ぜひ時間があれば読んでみてください。